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第34回 『痛風の合併症、一般療法』

 痛風患者の数は現在50万人前後で、年を追って増え続けています。特に若年患者が増加し、痛風発症年齢のピークはかつて50歳代でしたが、現在は30歳代になりました。また痛風の基礎疾患である高尿酸血症の頻度も成人男性の約20%と増えています。

合併症
 痛風や高尿酸血症の患者さんでは80%に肥満、高脂血症、高血圧、耐糖能異常など生活習慣病の合併がみられます。しかも複数合併している人も少なくありません。これは尿酸の代謝異常がその他の病気と密接に関連しているからです。例えば肥満で内臓脂肪の蓄積があれば、肝臓に遊離脂肪酸の流入が起こり、中性脂肪の合成と同時に尿酸の産生も高まります。肥満のため糖代謝が悪化し、インスリン抵抗性となれば腎からの尿酸排泄が低下します。その結果血中の尿酸値が上昇します。

予後
 痛風患者さんの3大死因は腎不全、虚血性心疾患、脳血管障害です。このうち腎不全は尿酸値のコントロールである程度予防できますが、その他は動脈硬化による病気です。合併する生活習慣病の治療が予後の改善に重要です。

ライフスタイルを見直しましょう
 痛風は30〜50代の働き盛りの男性によくみられます。忙しい仕事に追われて、きちんと食事を摂っていないことがよくあります。食べ過ぎや飲み過ぎを避ける事も大切ですが、3食をきちんと摂ることが大切です。仕事の関係もありますが、夕食を遅くならないうちに摂れるよう工夫してみましょう。
 痛風発作が起こると患者さんは薬をのんだり、食事療法、運動療法を始めたりします。でも痛みがおさまると、元どうりの生活に戻ったり、薬も中止したりしがちです。このようにして痛風発作を繰り返すようになると、高尿酸血症状に伴う合併症が出現してきます。

食事療法
1)食べすぎに注意する。
厳密にカロリー計算をする必要はありませんが、ご飯などの主食と肉魚などの主菜、そして野菜などの副菜をバランスよくとるようにしましょう。アルコールはカロリーが高いので飲みすぎるとすぐにカロリーオーバーになります。例えばビール大瓶を2本飲むと500Calありますからほぼ1食分に近いカロリーがあります。

2)プリン体の多い食品を控える。
アンコウの肝やレバー、タラコなどの魚卵にはプリン体が多く含まれます。これらは尿酸のもとになりますので、食べる量は少なめにしましょう。

3)アルカリ性食品をとる。
尿が酸性になると、尿酸が溶けにくくなり、尿路結石ができやすくなります。野菜、海藻、果物などアルカリ食品をとりましょう。

 痛風発作は動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの原因となる高尿酸血症を知らせる警鐘です。これに気づいて生活習慣改善などの治療を行って、重症化しないように注意が必要です。