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第20回 『タバコと病気との関係』

 札幌市の喫煙率は男性が52%、女性が25%で、全国平均男性55.2%、女性13.3%と比較して特に女性は約2倍と高率です。
 タバコ煙には喫煙者に吸い込まれる主流煙と周辺に広がる副流煙があります。このうちニコチン、タールなどの有害物質は副流煙で3-4倍多いといわれており、意志に反してタバコ煙を吸わされる受動喫煙が社会問題になっています。H15年5月に健康増進法が施行され、他人のタバコの煙を吸わされることのないよう、分煙のための措置が義務付けられました。

タバコと死亡率、有病率
 喫煙者では非喫煙者と比較して死亡率が高くなります。悪性腫瘍では喉頭がん32.5倍、肺がん4.5倍、食道がん2.2倍です。血管障害では虚血性心疾患1.7倍、クモ膜下出血1.8倍と死亡率が高くなります。慢性気管支炎症状をもつ頻度や胃潰瘍の再発率も喫煙本数が多いほど高率です。
 受動喫煙でも、夫が喫煙者の場合、妻の肺がん死亡率は夫が非喫煙者の場合の1.9倍です。

女性とタバコ
 妊娠中にタバコを吸うと流産や異常分娩、低出生体重児の危険性が増します。また出生児がアトピー体質となる頻度が高くなります。
 これらを心配して、タバコを吸う女性は妊娠すると4割は禁煙します。しかし授乳が終わるなどをきっかけに、妊娠中禁煙した女性の4割がまたタバコを吸い始めます。
 母親は小児と接する時間が長いため、母親から小児へのの受動喫煙は重大な問題です。母親が喫煙者の場合、幼児が喘息様気管支炎をもつ頻度は4.9倍になります。母親の喫煙は小児喘息発症の危険因子となり、喘息発作のため救急外来を受診する回数が増加します。

禁煙による健康改善
 以前は肺がんなどに対する喫煙の害は禁煙しても元には戻らないと考えられていました。しかし現在では禁煙すればその日から肺がんや虚血性心疾患で死亡する危険率が徐々に低下することが知られています。肺がんの死亡率は喫煙時4.5倍ですが、禁煙後4年で2倍、10年で1.4倍と死亡率が低下します。
 また母親が禁煙すれば小児の喘息症状が改善することが知られています。今からでも健康を取り戻すことが可能です。

 タバコは喫煙者の寿命を縮めるだけでなく、家族など周囲の人の健康にも害を及ぼします。効果的な禁煙プログラムを使って、禁煙にトライしましょう。健康講座の禁煙方法のコラムもご覧下さい。