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第3回 『花粉症の薬物治療』

 花粉症はくしゃみ、鼻水や目のかゆみが花粉の飛散時期に一致して出現する時に疑われます。
 検査は鼻水をとって、顕微鏡検査で好酸球という炎症細胞が含まれているかどうか調べます。この細胞は花粉症以外のアレルギー性鼻炎や気管支喘息にも関係している細胞です。
 次に、皮膚テストでどのアレルゲンが関係しているのかを調べます。スクラッチテストといって針で刺した後にアレルゲンのエキスをたらしたり、皮下にアレルゲンを注射(皮内テスト)したりします。陽性の場合皮膚が赤くなったり、蕁麻疹のように腫れたりします。またこの反応の強さでアレルギーの強さを判定します。実際には血液検査で、アレルギーがあるかどうか、またどのアレルゲンが関係しているのかを調べる事もよく行われます。
 さらにアレルゲンが陽性の場合、誘発テストが行われます。アレルゲンのエキスをパッチ(小さな円盤)に含ませて、鼻の粘膜の上において本当に鼻炎が起こるかどうかしらべます。このようにして原因の花粉を決定します。
 以上の検査のうちから、患者さんの年齢や重症度、既往歴、合併症などを考慮して必要な検査を行い、診断します。

花粉症の薬物治療
 花粉症では発症時期が大体予想できるため、予防的に薬をのむ事が治療の中心となります。花粉が飛び始める2週間位 前から抗アレルギー薬をのみ始めます。こうすることで症状が出現後のみ始めるよりも、良い効果 が得られます。花粉の飛散が終了するまで治療を続けます。
 くしゃみ鼻水が強い場合には抗ヒスタミン作用が強い薬を使います。昔からのものでは眠気が出現しやすく、仕事や運転にさしつかえることがありましたが、最近は眠気がほとんど出ないものもあります。また1日1回で十分な効果が得られるものもあり、のみわすれの心配も少なくなりました。
 一方患者さんによっては、くしゃみ、鼻水よりも鼻づまりが強い場合があります。この場合は抗ヒスタミン薬よりもロイコトリエン、トロンボキサンというアレルギーに関係する物質の作用を抑える薬の方が有効です。
 このほかにも、ステロイド薬や抗コリン薬の点鼻、吸入、漢方薬、減感作療法、手術などの治療があります。正しい診断を受けて、症状に合わせた治療を受けるようにしましょう。