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第11回 『アスピリン喘息』

 アスピリン喘息とはアスピリンをはじめとする解熱鎮痛剤によって誘発される喘息のことです。成人喘息患者の約10%にみられます。また食品や薬剤に含まれる色素、防腐剤などによって誘発されることがありますので注意が必要です。

診断
 アスピリン喘息は中年に発症することが多く、小児ではまれです。多くは非アトピー型で、アレルギーのはっきりしない患者さんに多くみられます。発作に季節性はなく、一年中みられます。喘息症状が重症、難治性で死亡例が通常の喘息患者さんよりも多くみられます。殆どが慢性副鼻腔炎や鼻茸(鼻のポリープ)を合併しています。
 診断にはアスピリンなどを吸入して、喘息症状が出現するかどうか調べます。アスピリン喘息かもしれないと感じたことのある患者さんは、一度病院で診断を受けることをおすすめします。

アスピリン喘息を誘発する物質
 1.酸性抗炎症薬
 アスピリンの注射薬は1992年までは使用されていて、発熱などの症状に優れた効果がありました。しかし副作用で死亡した例があったため使用中止となり、現在は発売されていません。
 内服薬でよく使用されるものに、アスピリン、バファリン、インダシン、フェルデン、ブルフェン、ナイキサン、ボルタレン、ポンタールなど多くの薬剤があります。また湿布などの外用薬でも発作が誘発されることがあり、注意が必要です。

 2.医薬品添加物
 喘息発作の点滴治療に使用されるステロイド薬にも、パラベンという防腐剤が含まれているものがあり、アスピリン喘息患者さんには使用できません。

 3.食品、食品添加物
 タートラジン(食用黄色4号)、安息香酸ナトリウム(防腐剤)、ベンジルアルコール(香料)などが食品に含まれていて発作を誘発します。また果物などに含まれるサリチル酸化合物でも過敏反応が起こることがあります。
 その他インスタント食品で内容が不明なもの、人工着色料、香料を含んだケーキ、お菓子などは避けた方がいいでしょう。成分表示に注意し、食べた時におかしいと思った食品は覚えておきましょう。

治療
 発症機序はアスピリンなどがアラキドン酸代謝に関係する酵素、サイクロオキシゲナーゼを阻害するためと考えられています。その結果ロイコトリエンが過剰に産生され、喘息発作が起こります。治療にはロイコトリエン受容体拮抗薬が有効です。現在日本では3種類の薬剤が使用できます。毎日の治療薬に加えた方がいいかどうか、主治医に相談してみましょう。

アスピリン喘息患者さんが熱や痛みのある時
 酸性抗炎症薬は使用できません。ソランタールなどの塩基性抗炎症薬とアセトアミノフェンは、常用量では経験的に発作を誘発しないと考えられています。その他ステロイド薬や漢方薬を症状に合わせて使用します。以上の薬には処方箋が必要ですが、地竜という漢方薬(ミミズの成分)は薬局で買うことができます。

 アスピリン喘息を誘発する物質は薬剤にとどまらず、食品など多種類に及ぶため薬剤だけに注意していても、発作がなかなかおさまらないことがあります。重症の場合生命にかかわりますので、呼吸器科で診断を受けることと、毎日の生活での注意が必要です。また呼吸器科以外の医療機関(整形外科など)を受診する際に、アスピリン喘息であることをはっきりと告げることが大切です。